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サイバード・河﨑伸明氏「好きなことを突き詰めることが大切」<開発現場インサイト>

サイバード・河﨑伸明氏「好きなことを突き詰めることが大切」<開発現場インサイト>

プロデューサーとしての現在のお仕事とゲーム制作について教えてください。

河﨑:私の仕事はスマホアプリゲームのプロデューサーです。スマホアプリゲームは弊社の主力事業のひとつということになります。

まずは企画です。自分のアイデアの場合もあり、開発会社などの提案であることもあります。よい企画があって「これはいける」、「これはやりたい」と思えば、立ち上げていくわけです。

大切なのは「座組み」です。その仕事にだれが関わるかとの構想を立てる。そして予算を取る。これが最初の仕事です。企業には投資について審査する部門がありますから、そこに諮ってもらう。企画の内容だけでなく会社全体の状況や計画にも関係する話になるので、企画が通るまで半年程度かかることもあります。

企画は年間計画に組み込む以外に、イレギュラーなゲームもあります。アニメの人気コンテンツを取り入れる場合やヒットしたゲームをスマホアプリでもやりたいと思った場合などです。その場合は会社の予備予算を使うことになります。

いずれにせよ、やるとなればプロデューサーは事業責任者ということになり、売り上げや利益で会社にどれだけ貢献できるかの見込みも示さねばなりません。

とにかく「座組み」は大切です。だれにどのように関係してもらうのか。弊社には内製部隊もありますが、私の場合は外部の方と開発チームを組むのが得意なのでその視点でお話しすれば、まずは開発会社を検討せねばなりません。それからボイス入りのゲームだったら声優事務所や音響制作会社。さらにグラフィック関係。どこと組むかというのは非常に重要な点だと思います。

1つのゲームにどんなに少なくとも3社、多い場合には5、6社が関係してきます。そのグループを率いるのが私の立場ということになります。

スマホアプリゲームのプロデューサーになる以前には、どのような仕事をしていたのですか。

河﨑:私はもともと他社でシステム担当、SEでした。前にいた会社では基幹業務をサポートする仕事をしました。もとはB2Bの広告事業をしていた会社だったのですが、2011年ごろにはいわゆるガラケーからスマホへのシフトが始まったので、スマホに関するB2C事業をやろうということになりました。その開発・運用ノウハウを得るために新規事業が立ちあがったのです。

メンバーは私を含めて7人で、各人が企画を立てるプロデューサーでした。外部のパートナー探しもします。考えてみれば、今とあまり変わりません。

当時の作品には、どのようなものがありますか。

河﨑:1番最初にリリースしたのが「お天気コーデ」というアプリでした。天気予報とファッションコーディネートを組み合わせた新しい形のサービスでした。それから、ソーシャルゲームも手掛けました。今でもApp Storeなどで販売されている作品もあります。

株式会社サイバードゲーム事業本部開発統括部プロデューサー 河﨑伸明(かわさき・のぶあき)氏

システムエンジニアになった経緯も教えていただけますか

河﨑:学生の時、1年間米国に留学しました。最初は語学研修でしたが、TOEFLの成績が基準を満たしたため、大学の学部に入れることになりました。そこで、コンピューター関連の学部を選んだのです。

それまで大学で専攻していたのは英文学でしたが、もともとコンピューターは好きで、「マイコン」と呼ばれていた時代からプログラミングしてゲームで遊んでいました。帰国してから就職活動をするとなった時に手に職を付けようと考て、システムエンジニアへの道に進もうと思ったのです。コンピュータビジネスが益々発展するのは自明でしたから。

ゲームは子どものころから好きでした。よくファミコンで遊びました。ボードゲームもやりました。ゲームはデジタルもアナログも楽しんでいたわけです。ですから、今の仕事は自分にとってまさに「天職」だと思っています。

学生時代を含め、次々に新しい世界に飛び込まれたようですが、ご苦労はありましたか。

河﨑:私は好奇心が旺盛なこともあって、新しい世界に飛び込んでいくことに抵抗はありませんでした。転職したのも、台頭してきたスマホで新しいことをやりたくなったためです。多数受けて結構落ちましたが、転職で苦労は感じませんでした。むしろ、わくわくしました。

デジタルの世界は進歩が速く、特にスマホの世界はどんどん変わっていきます。1年前とは大違いです。だから、変わっていくことを楽しめることが大切です。

人より早くやる、最初に飛びつくことに喜びを感じるようでなければ、ということです。新しいことに対して「ついていかねば仕方ない」と受け止めているのでは、つらくなってしまうと思います。

新しい情報を仕入れて役立てていく秘訣はありますか。

河﨑:世の中の新しいことはウェブ記事でもSNSでも普通に見ることができます。でも、それは表面上のものです。本質については、それを制作の現場にいる人や業界内の人々に聞いてみるのです。その方が記憶にも残ります。そして、業界の動きなどを俯瞰して振り返ってみるのです。新しいことについては、まずは調べることが大切です。その時点の状況だけではなく、経過も調べるのです。

大切なのは積み重ねです。最初はそうでないとしても、新しい動きが本格的になるのか、しぼんでいくのか、なんとなく分かるようになってくるものです。もちろん、すべてが当たるわけではありませんが。

それから私の場合には、かつて勤務していた会社が広告会社でもあったことが大きかったです。いろいろなことをやる人がいる。話す人もいる。皆が常に、「これはいけるかな」と考えている。要するにマーケティングの発想や手法が身につきました。

新しいサービスがあったら、どれぐらいの人がついてくるのかと必ず考える。世間で注目されていることはきちんと押さえていく。

システムエンジニアは、ただ作るだけになってしまう場合もあります。私の場合、本当に流行るものを早い段階から見極める意識を身につけることができました。

仕事をされていて、どのような時に喜びを感じますか。

河﨑:皆で取り組んだ作品を世に出せば「やり切った感」が沸いて喜びを感じます。もちろん、売り上げの出ることが大切ですが、それだけではありません。仮に、あまり当たらなかったタイトルであっても、熱心なファンがいらっしゃることはありがたいです。

人数の規模は違います。ヒットすればそれこそ、何万人もの熱心なファンについていただける。売れなければ数百人かもしれない。それでもすごく愛してくださっている方がいるのです。

「ランキングで何位か」と、まずはそこに目がいきます。しかし、私はレビューとかツイッターの公式アカウントに対するリプライがとても気になります。プロモーションで協力していただいている業者にも、声を拾っていただいています。

いろいろな問い合わせにはできるだけ丁寧に対応します。応援していただければ、もちろんうれしい。逆にクレームが寄せられる場合もあります。でもそんな場合も、まず感じるのは「ありがたい」ということです。実際にプレーしていただいて、その上でのご意見なのですから。そして、なんとか対応しようと考えます。

もちろん、さまざまなご指摘を次の作品につなげるよう努力します。その意味でも、ご意見をいただくことは、ありがたいことです。

ほかにどんなご努力をされましたか。

河﨑:仕事を初めて間もないころは、クライアントサーバシステムなどに携わったこともありました。そのうちにインターネットが台頭してきました。そこでインターネットスクールにも通いました。

まだ仕事はない状態で、イラストレータとかフォトショップ、フラッシュなどを勉強したわけです。系統的に勉強しておきたいと思いました。ツール系というのは、自分で触ってみないとマスターできませんから。

今では自分でコードをいじったりすることはほとんどありませんが、技術系をやっていたことは今の仕事に生きています。例えば、技術者や技術を売っている会社の力を理解する上で今までの経験が生きています。

それから、開発経験のない会社が何かやりたいと思う場合には、外部に委託することになるわけですが、その間で、通訳の役割をします。事業側と開発側では互いに使う言葉が違うので話が通じにくいのです。私の場合、双方の言葉をかみ砕いて相手に伝えることをしています。

それから、自分にエンジニア経験があるので、実際に作る人のマインドもわかるのでそこを配慮した動きが出来ることは大きいと思います。

現在の業界は以前と比べてどのような違いがあるのでしょう。

河﨑:これまでは、全く別の分野の人や事業者がソーシャルゲームに参入することが、かなり多かったです。特に、ウェブサービスをやっていた会社です。ミクシィがそうでしたよね。ミクシィは最初、人材紹介の「Find Job!」を運営して次にSNSでした。そして今は誰もがご存じのモンスターストライクの開発運営会社だと世間的には捉えられています。

ただ、今後は少なくなると思います。何しろ、1本あたりの制作費や広告費には数億円かけると云われています。私がかつて手掛けた作品の場合、開発費が数千万円ぐらいでした。しかし現在は、1社で出せるという資金力のある会社が大手に限られてきました。それ以外には制作委員会を組んでやるしかないでしょう。

少し前に日本のゲームを海外に売り出す動きが加速したと聞きました。

河﨑:そういうこともありました。ただ、今はむしろ中国や韓国の会社が自分たちの作ったゲームを日本に売り込もうとする流れです。アニメなど日本のコンテンツはアジアで人気がありますから、アジアでそういうコンテンツを使うゲームが作られるようになった。アジアの会社もある程度学んだため、今度は自分たちで作って日本で売ろうとする流れです。

彼らには資金力がありますから、ある程度はライバルかもしれない。ただ、日本人の求めるテイストには、非常に敏感な部分があります。とにかく細かい部分をいろいろと嗅ぎ分けます。だから、日本のゲームづくりが圧倒されることはないと思います。

今後はどのような仕事をされたいのでしょう。

河﨑:エンタメ全般ですね。ゲームだけでなく、アニメ、漫画、ノベル、映画、舞台、さらにライブも絡めたメディアミックスです。別の言い方をすればIP(知的財産)ビジネスです。そのために、別のジャンルの人たちのお手伝いをし、いろいろ教えていただいています。

例えば、何かコンテンツとかキャラクターがヒットしたとします。ヒットした後に、「では、他の分野も」と動きだすのでは遅いと思います。具体化する前に人気が失速してしまうかもしれない。だから最初から座組みをしておいて同時に一気に動くのです。スピード感の問題でもあります。

そうすれば、お客様には「今流行っているものをやっているという満足感」を、より確実に提供することができます。マーケット的にはそういう人が大多数なのでビッグビジネスになるはずです。初期の段階からいろいろ仕込んで進める方が勝てると思います。

ゲームの世界、あるいはさら広くIT全般の世界を夢見ている若い人にメッセージをお願いします。

河﨑:自分の好きなもの、興味を持つものを突き詰めることをお勧めします。私だったら作り手情報を重視します。作った人やかかわった人について突き詰めていく。例えば「君の名は」がヒットしましたよね。この作品を好きだと思ったら、新海誠監督について、「どのようなことをしてきた人なのか」、「今、注視されているのは何なのか」を調べていく。それから、作品はどのような仕組みで作られているのか、それも突き詰めていきます。

そういうことを続けていけば、視野や知見が自然に広まり深まっていきます。いわゆるオタク気質の人には合っているでしょう。それが、新しいことにかかわるチャンスにつながるのでは、と思います。

とにかく、自分が好きな事を突き詰めていくことが大切です。「勉強しなければならない」との思いで進めていくのでは、つらくなってしまうでしょう。

取材・構成:D-Studioマガジン

株式会社サイバード
事業本部開発統括部プロデューサー
河﨑伸明(かわさき・のぶあき)氏

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