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自分で自分を分類したら絶対に損、とにかく世界の人を「笑顔」にしたい=ブループリント・久保一人氏<開発現場インサイト>

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まず、御社についてお教えください。

久保:弊社は電通とNTTドコモの合弁会社であるD2Cの一事業部門としてスタートしました。現在は独立して資本関係はありませんが、当時からのタイトルも運営しています。弊社のミッションは「人々が笑顔になる体験を提供する」というものです。

私が入社したのは2016年1月です。弊社はもともと、プロデューシング主導の会社で、開発会社と協力してゲームを作ってきたのですが、社内でも作れる開発体制を作ろうということで現在進めています。

VRなどについても取り組まれているのでしょうか。

久保:VR、ARは16年春先ぐらいに着手しました。ソーシャルゲーム市場は飽和感が強まりました。成熟市場に近づいたと言ってもよいでしょう。私自身としてはVRよりもAR、MRが本命だと思っているのですが、会社としては市場の立ち上がりでVRが先行するとの読みもあります。ただ、アップルがARKitを発表しましたから、ARが予想以上に急成長するかもしれません。いずれにせよ、3D技術を駆使する点は共通しているわけです。

新しい分野を手掛ける場合、タイミングについては慎重に考えねばなりません。資本力のある大企業なら、後からパワープレーで「ドン」ということもできるでしょうが、ベンチャーの場合にはどうやって先行者利益を得るかということが大切です。その分野でのライバルの多い少ないも判断の材料になります。ライバルは少ないほうがありがたいのはもちろんです。

久保様とゲームづくりの出会いについて教えてください。

久保:ゲームと出会ったのは小学校4年生のころでした。親類のおじさんがパソコンをいじっていたのがきっかけです。MSXとかPC-8800という機種でした。私も触らせてもらいました。ファミリーベーシックもやってみました。私にとって初めてのプログラミングでした。

高校では情報処理科に進学しました。ところが授業で扱うのはコンピューター会計ばかりでした。正直に言って、あまり面白くなかった。そこで、ゲームづくりに役立てようとC言語とかベーシックを自分で勉強しました。いろいろとプログラムを組みましたが、やはりゲームに魅かれました。ゲームには絵や音、もちろん数値的な計算、ロジックもついて回ります。それらすべてのバランスがよくないと、よいゲームはできません。カッコよく言えば、ゲームは総合芸術だと思えたのです。

社会に出てからは、ゲーム一筋ということですか。

久保:そうはなりませんでした。最初の会社にはゲームをやっている部署もあったのですが、金融関連システムという固い分野に配属されました。それ以外にもニュースサイトやオークションサイトを作ったり、ネットワークの構築など、いろいろやりました。

次にドワンゴに入社しました。といっても、すぐにゲームの開発ができたわけではなく、最初はランキングサーバーの設計と開発を担当しました。その後、着メロサイト「いろメロミックス」のモバイルアプリも手がけました。

ゲームを作ったのは、その当時の携帯電話向けに自分で勝手に作ったのが最初です。やはり面白みを感じました。早い話、絵が動きますよね。サーバーの仕事は結局のところ数字処理ですがゲームは違いました。

今まで、仕事上の壁としては何がありましたか。どのように切り抜けられましたか。

久保:仕事上の壁と言われても、あまり思い浮かぶものがありません。肉体的にはきつい経験をしましたよ。今では考えられないぐらい、残業をしたこともありました。どのように対処したかと尋ねられたら、「根性で切り抜けました」と言うほかないですね。

まだ若いころですが、「火消し」としてプロジェクトに投入されることもありました。納期まで残り1カ月とかになってから、「ヤバいみたいだから、何とかしてよ」と言われて送り込まれるのです。状況を聞いてみると、全然できてなかったということもありました。「うそでしょ」と思い、腹も立ちましたが、とにかくやるしかありませんでした。

私の場合、負けん気強いということはあるかもしれません。「追い込まれたほうが生き生きしている」と言われたことがあるくらいで。もっとも、「普段はぼーっとしているのか」と思われても困りますが。

株式会社ブループリント 取締役 CTO 久保一人(くぼ・かずと)氏

ご自分の強みは何だとお思いですか。

久保:基本的に、ゲームづくりをしたいとずっと思ってきたのですが、どうしたらよいのか、どうしたら自分の望むゲームを作れるのか悩んだ時期もありました。そこで、全部自分でやってみればよいと思って、Photoshopから何からいろいろなツールをひと通り買い集めて、全部やってみたのです。

今から考えれば無謀だったとも思いますが、その後はどんな人がどんなことをやっているのかが分かって、コミュニケーションをとりやすくなりました。色々な職種の人が考えていることが分かるようになりました。

やはり、いろいろやってみることは、無駄にはならないものです。実は私は学生時代に音楽に熱中していて、バンドをやっていました。プロになりたいと思った時期もあるほどです。結局はこの業界に入ったのですが、ギターのソフトを担当したこともあります。プログラムができて音楽にも詳しいから適任と判断されたのです。

真剣に取り組んだ経験のある音楽が、仕事の面でも役に立ったのですね。

久保:PCゲームで私の曲が使われたこともあります。22歳の時でした。最初に入った会社で、ゲーム開発部署と仲よくなって、大学時代に作った曲を聞かせたのです。曲づくりに困っていたらしくて「使っていい?」と言われたのでOKしたわけです。

「スグマチ!」という簡単に街づくりを楽しめるゲームでは、音楽とゲームのコラボレーションを探ってみました。「お花見」、「夏祭り」というイベントで、アーティストの書下ろし楽曲が流れるようにしたのです。私自身に音楽の経験があるのでミュージシャンの方の話しを理解できます。音楽に熱中したことは今の私にとってずいぶん役に立っています。

興味を持ったことは、とにかくやってみるというご性格なのでしょうか。

久保:新しいことは基本的に好きですね。新製品が出れば、すぐに買う。「Nintendo Swich(ニンテンドースイッチ)」も発売初日に買いました。映画「カーズ」のロボットのSphero(スフェロ)も日本発売初日に買いました。すぐにやりたくなってしまう。もっとも、すぐに飽きてしまうことも多く、妻には白い目で見られています。

久保様と同じ業界を目指す若い人、学生さんなどにアドバイスをいただけますか。

久保:プログラミングを学びたいなら、数学をしっかり勉強しなさいと言いたいですね。プログラムとは最終的にはアルゴリズムで、そこにエンジニアの腕の差が出てきます。数学の知識が最後に大きな武器になります。

Unityなどの開発しやすいゲームエンジンが出てきたおかげで、数学をしっかり学んでおくことの重要性は、以前ほどではなくなってきていますが、それでも頑張っておいたほうがよい。これからの社会で、コンピューターの重要性が低下することは考えられません。コンピューターをやろうという以上、数学はしっかりやっておくべきです。

それから日本人は、人を理系と文系に分けたがる癖があります。これはおかしい。外国人の技術者に話したら、「クレイジー」と言われてしまいました。日本人はなぜか、自分で自分を分類したがる。理系の場合、自分は理系ができるということで優越感をアピールしたいのでしょうか。あるいは「私は理系だから文系分野はわからない」、「文系だから理系のことはできない」と、よく知らない分野から逃げるための言い訳かもしれません。

他人が「あの人は理系だ」、「文系だ」と分類して評価するのはしかたありませんが、自分で自分を分類して決めてかかるのは、残り半分の可能性を捨てることです。これは絶対に損です。貪欲に、なんでもやってやろうという気持ちを持ち続けてほしい。若い人にはそう言いたいです。

その他、今の日本の状況で気になることはありますか。

最近になり、世界的なVR開発者のイベントであるVRDCに参加するため、サンフランシスコに行きました。そこで、FacebookやAppleの話しを聞く機会がありました。

日米では業界のあり方に圧倒的な違いがあると痛感しました。アメリカでは求められるスキル、働き方、考え方のすべてが、日本と比べて実にシビアに感じました。そして結果が出せなかったり、会社の事業の変化によってはレイオフされるような環境です。そういう状況に対応するため、エンジニアは「自分の武器はこれだ!」というものを磨いている。本当にすごい人は、職場を転々と移動しながら、そのたびにサラリーを上げていく。逆に、そうでない人は落ちていく。日本では平和すぎてハングリーにならない、でも生きていけるという雰囲気がある感じもします。

それから、IT分野において新しいものは米国で普及してから日本に来るという傾向があります。日本は一歩遅れて追随していく。言葉、文化の壁の影響でしょうか。外国で評価されてはじめて、自分も取り入れるという国民性なのでしょうか。文化と言葉の壁で日本が守られているという側面もあると思いますが、新しい技術やサービスが海外で先行してから日本に入ってくるような流れは寂しいものです。

そのようなわけで、日本から世界に向かって戦っていけるものを生み出すためにはどうしたらよいのか、と考え続けています。日本の文化やアイデンティティーにはユニークで面白い物があります。そのような特色を生かしたゲームを作りたいと思っています。

御社としては、開発においてどのような動きをしていますか。

久保:例えばVR対応のゲームも、ワールドワイドで出しています。これまで知見のなかった海外でのマーケティング、プロモーションにもトライしています。弊社は、ゲームを中心とする事業を手掛けてきましたが、人々をハッピーにするために、ゲームで培った技術やサービスを他の分野にも積極的に応用していきたい考えです。

弊社社名の「ブループリント」は「青写真」という意味です。創業時に「自分たちの力で新しい社会の青写真を作っていこう」との思いを込めたと聞いています。ですから今後とも、さまざまな商品やサービスで「人々が笑顔になる体験を提供する」することに、全力で取り組んでまいります。

取材・構成:D-Studioマガジン

株式会社ブループリント
久保 一人(くぼ かずと)
1998年、株式会社プライムシステム開発入社。大手クレジットカード会社のシステム設計と開発を担当。
2001年、株式会社ドワンゴ入社。コンシューマーゲーム機向けのランキングサーバーの設計と開発に着手。着メロサイト「イロメロミックス」のモバイルアプリの設計と開発を経験。
2005年、株式会社UBOOK入社。ECサイトの運営に従事。
2007年、株式会社トランに取締役CTOとして入社。タクシー予約サイトのシステムを運営する。
2008年、株式会社テコテック入社、Nintendo DS向けのアプリを開発。その他、ソーシャルゲームを企画/開発。2013年、株式会社gloops入社。
ソーシャルゲームのプロデューサーを務める。2016年4月、株式会社ブループリント入社、同年8月からは取締役CTO。

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