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ゲーム作りにも求められるのはコミュニケーション能力=タイトー・米陀大気氏<開発現場インサイト>

タイトーの米陀大気氏。まだ若いがプログラマーとしてしっかりと信念を持っていることがうかがえる。

D-Studioマガジンでは、ゲーム業界で活躍する方々のインタビュー記事を連載しているが、 今回の米陀大気(よねだ・たいき)氏はやや異色だった。ゲームづくりをしていて、 「苦しい思いをしたことはない」と断言した。仕事が楽しくて楽しくて仕方ないという。 その一方で、学生時代にゲームづくりに着手した経験はあるが、仕事にしようとは思っていなかったとのこと。どのような性格や考え方、経験が現在の米陀氏を作ったのか。 意外に思える説明も多い、実に興味深い取材になった。

—ミスがないに越したことはありませんし、ミスを連発したりミスを最後まで残してしまったのでは絶対にだめです。でも、プログラム上のミスを見つける力、どこにエラーがあるかを素早く見つける能力がより重要なのかもしれません。素早く見つけてきちんと修正する力が必要です—


—2016年春に新卒として入社したそうですが、社会人になってみてどんなことを感じましたか。

​ 米陀:実は、自分自身を振り返って、少々後悔したことがありまして……。

—え。そんなことを言ってしまって大丈夫ですか?

​ 米陀:いや、会社に対してではありません。会社にも仕事にもとても満足しています。そうでなくて、入社したおかげで見聞が広がって、それまでどうして知らなかったのだろうと後悔したことがあったということです。

—具体的に教えていただけますか。

米陀:入社して3カ月は社内研修でした。いろいろな部署を回りましたが、うち1カ月半ぐらいは店舗での研修ということで、タイトーステーションで勤務したのです。

私は大のゲーム好きでしたが、夢中になっていたのは家庭用やオンラインゲームで、ゲームセンターには行ったことがなかったのです。仕事そのものも楽しかったのですが、ゲームセンターがとにかく楽しい場所だと痛感しました。完全にハマってしまったとも言えます。

—研修をしながらゲームをしていたのですか。

米陀:勤務時間中に遊べるわけはないですよ。例えばクレーンマシーンで遊ぶお客様に、操作法をお教えするなどサービスに徹しました。それから、店のクルーに機械のメンテナンスを教えてもらったりもしました。

店舗に派遣される前にも、お辞儀の仕方など接客の基本を一から学びました。お客様にとっては、こちらが研修生であるかどうかは関係のないことですからね。いつもと同じように楽しんでいただかなければならないので、当然のことです。ただ、お客様が楽しんでいる様子を見て、私も引き込まれたというわけです。

ということで、休日には自分の楽しみのためにゲームセンター通いをするようになりました。本当に楽しくて、どうして学生時代には来なかったのかと後悔したというわけです。

—その体験は、研修が終わった後の仕事にも生きることになりましたか。

​ 米陀:もちろんです。7月には、プログラマーとして正式に配属されました。弊社はアーケードゲームがメーンの会社ですが、研修中に実際に、「こんなにたくさんの人が毎日店舗に来て楽しく遊んでいる」ということを自分の目で見て体験したわけです。お客様が笑顔で楽しんでいる様子が、脳裏に焼き付いています。ですから、ゲームづくりに励んで、その結果としてもっと楽しんでいただきたいと、改めてモチベーションを高めることができました。

—ゲームの仕事をしたいと考えたのはいつごろからだったのでしょう。

米陀:それが、就職活動をはじめてタイトーという会社の存在に気づいた時からなのです。私は大学時代には音響工学を専攻して、その時にはサウンドプログラマー、つまり音に関連する機械のソフトを作りたいと考えていました。

子どものころを考えれば、完璧なゲームっ子でした。漫画も読まずに妹と夢中になってゲームをしていたことを思い出します。

ゲームを作りたいという気持ちもありました。小学生の時ですが、フリーのゲーム用言語を手に入れて友だちとRPGを途中まで作ったこともあります。その後、もっと本格的にゲームを作れるようになろうと、プログラムも勉強しました。

でも結局は学ぶ対象として音響工学を選んだわけです。この専攻ならば、プログラムの知識を生かせると思ったこともあります。

—研修期間も終えてプログラマーとして働き始めて、どうお感じになりましたか。

​ 米陀:現実に存在する物を直接いじるのではなく、プログラムを相手にするわけですが、モノを作る楽しさを、再確認しました。1日があっというまに終わってしまうというのが実感です。

—仕事の上で、苦しいことに遭遇することはありませんか。

米陀:もちろん、難しい部分や調べねばならないことは多いのですが、とにかく作ることが楽しくて仕方ありません。意外に思われたようですが、これが実感なのです。

新しいツールや言語を学ぶことは、大変と言えば大変です。かつて学んだことも復習せねばなりません。今でもそうです。ただ、そのことを含めて楽しいのです。ゲームづくりで苦しいと思ったことはありません。自分自身の「モノを作りたい」という気持ちがこんなに強かったのかと、改めて感じています。

—復習せねばならないこととは、具体的にはなんでしょうか。

AM本部 MC開発部 米陀 大気(よねだ だいき)氏

米陀:学校時代に学んだ数学です。もっとやっておけばよかったと思います。まあ、学生時代にいくら頑張っていたとしても忘れた部分はあるでしょうから、仕事で使うようになってから改めて学びなおすことにはなったと思います。

とにかく、将来の仕事としてゲームづくりを考えているなら、数学をきちんと勉強しておいた方がよいですね。間違いなく使います。

例えば、三角関数は毎日のように使います。それから物理もですね。重力の関連する動きが出てくるゲームだったら、物の落下に関係する部分など物理にかかわる数学を使います。

学生の時には数学を学んでも、それがいったい何に結びつくのか、具体的に想像できません。でも、心のどこかに自分が将来、ゲームづくりの仕事をするかもしれないという気持ちがあるなら、仕事の上で数学が必要になると思って勉強しておいた方がよいと思います。

—ゲーム業界の老舗企業に入社されたということで、会社の伝統ということは感じますか。

米陀:まずは過去の作品が膨大にあることですね。私も全部は知らないほどです。その関係でリメイクの仕事も多いということがあります。

私はプログラマーとしてはまず、スペースインベーダーをスマートフォン用にする仕事をしました。とにかく、大ヒットした時に遊んでいただいた方が、当時を思い出しながら遊んでいただけるよう、可能なかぎりそのまま再現しました。

こだわって工夫した部分としては、例えば入力があります。当時はレバーやボタンを使ったわけですが、リメイク版はスマホ用なのでタッチ操作になりますから。あくまでも、かつて楽しんで頂いた時の楽しさを再び味わっていただくためです。

プレーしている人は気づかなくても、相当にこだわった部分が込められています。

—いわゆる社風などで古い伝統を感じることはありますか。

米陀:店舗運営の事業部では、例えば朝礼をしっかりやるなどの習慣があります。長年にわたってつちかってきたノウハウが、いろいろな仕事の仕方に生かされているのだと思います。

でも、私の直接の仕事については、古くからの習慣を特に感じることはありません。

—今はどのような作業に取り組んでいますか。

米陀:直近では今年2月に配信を開始した、Steam版の「スペースインベーダーエクストリーム」というタイトルを手がけました。

家庭用からの移植ですが、ゲームのルールや演出についての改良点を洗い出し、PC環境に合わせて様々な部分をリファインしました。

新曲も追加され、ワールドワイドに配信しています。このゲームは「音」が重要なタイトルだったので、これまでの音楽経験を活かすことができました。

—学生時代に音響工学を学ばれた動機はなんだったのでしょうか。音響工学の知識や技術は現在のゲームづくりに関係していますか。

米陀:音響関係の勉強をしたのは、私が音楽好きだということが関係しています。高校時代にはバンドの活動もしていました。

今のゲームづくりに音響工学の高度な部分を生かしているわけではありませんが、私は自分自身がゲームにおける音の重要性をとりわけ理解していると自負しています。

弊社には「ZUNTATA(ズンタタ)」と呼ばれるチームがあります。簡単に言えばサウンド関連の専門チームで、個別のタイトルづくりの際にも協力してもらうわけです。

私の本来の仕事からははずれるのですが、「ZUNTATA」の方にもお願いして、サウンド関係の仕事を少々やらせてもらったこともあります。

少し先のことになるかもしれませんが、音楽ゲームを作ってみたいと思っています。これは、実際に仕事を始める前からかなり考えてきました。

バンドではドラムスを担当していたこともあり、音楽の要素の中でも特にリズムに関心があります。リズムを刻むことは楽しいものです。それを生かしてリズムの要素を取り込んだゲームを作ってみたいですね。

—ゲーム業界に技術者として入る場合、合う性格、合わない性格はありますか。

米陀:私は学生時代、企業のサーバーの保守・運用のアルバイトをしていました。いろいろな企業のサーバーを管理して、問題が発生したらすぐに対処する仕事です。こういうシステム系の仕事ですとミスあるいはエラーは許されません。

いかなる瞬間でもサーバーが正常に動くようにしなければならない。結果として、同じことを繰り返す面が強くなります。私はこういう仕事が苦手だなと分かりました。

私には楽天的、前向き、悪く言えば向こう見ずなところがあります。そして奇抜なこと、新しいことをやるのが好きなのです。いつも型にはまった作業をこなすより、変わったことをやりたいのです。ゲーム業界には、そういう性格が向いているのかもしれません。

—多少のミスは大丈夫ということですか。

米陀:ミスがないに越したことはありませんし、ミスを連発したりミスを最後まで残してしまったのでは絶対にだめです。でも、プログラム上のミスを見つける力、どこにエラーがあるかを素早く見つける能力がより重要なのかもしれません。素早く見つけてきちんと修正する力が必要です。

チームとして複数の人間で進める仕事ですから、他人のミスやエラーを発見する力は大切です。逆に、自分の書いたプログラムを他の人が修正する場合もあるわけです。

そういうことで、自分の書いたプログラムを他人に見せることが前提になりますから、どの人が見ても理解しやすいように書くということを意識するようになってきました。

—先輩などから注意されたり褒められたりすることはありますか。そんな時、どんな気持ちになりますか。

米陀:注意されたことは、細かいことを含めて数えきれないほどですね。でも、それで落ち込んだことはありません。弊社が、コミュニケーションがよく取れていろいろなことを相談しやすい雰囲気であることが、注意された場合に素直に受け入れられることにつながっているのかもしれません。

褒められた時は、やっぱり嬉しいですよ。私は、どんどん前に行きたいと願う性格ですから、褒めていただくことは、さらに進んでいく励みになります。

—褒められてうれしかったこととしては、どんな例がありますか。

​ 例えば「速いね!」と言ってもらえた時ですね。どれだけのスピードで書けるということは、プログラマーの能力の中でもとても大切な要素です。もちろん私も、仕事の速さについては常に意識しています。それだけに、「速いね!」と認めていただけた時は、とてもうれしく感じます。

—この業界を目指す人が、専門的な知識や技術以外に意識して身に着けておいた方がよいことはありますか。

米陀:私について言えば、新人だということで宴会の幹事をやれと言われたことが何度かありました。結構大変でした。

ゲームづくりに関係ないと思ってしまいそうですが、実はそうでもないのです。大人数をまとめる力、さらに言えばコミュニケーション能力なのですね。会社という組織で働く上では、大切な能力です。

ゲームを作るのも、まずは会話ありきなのですよ。企画を立てるプランナー、デザイナー、プログラマーと、さまざまな人が共同作業をするわけです。

プログラマーもキャラクターの技について考えたりします。デザイナーと一緒に絵を作り上げたりします。あるいは企画について考える場合が出てきます。

自分が思っていることは他人に伝えねばならないし、他人が思っていることはキチンと理解せねばならない。ミーティングを何度も行い、皆で議論を尽くします。チームプレーです。

私も今後、今よりも大きなプロジェクトに携わりたいと思っています。大人数でプロジェクトを進めるということで、コミュニケーション能力が今よりもさらに求められるようになるはずです。

この業界を目指す人には、例えばプログラマーとして入社しても、プログラムの仕事だけを黙々とやっていればよいというのではないことを、知っておいていただきたいですね。

—ところで、子どもの時からゲームが大好きで、ゲームづくりもやってみたことがあるのに、就職活動をする時までゲーム関係を仕事にすることを考えていなかったのは、どうしてなのですか。

米陀:最初にゲームプログラマーを目指さなかったのは、「自分の本当に好きなことは仕事にするのではなく、趣味にしておけ」という言い方がありますよね。それに影響されていたのだと思います。ただ、自分自身についてみれば、その言い方は当てはまらなかったと思います。

人それぞれだと思いますが、私の場合には、好きなことをとことんやるのが向いていました。ゲームづくりに携わって、この仕事がますます好きになっていく自分を感じます。

タイトーに入って仕事をして、毎日が楽しくて楽しくて仕方なく、自分がそういうタイプと分かりました。ですから、このタイトーという会社に入れて、本当によかったと感謝しています。

株式会社タイトー
AM本部 MC開発部 プログラム2課 クライアント係 米陀 大気
電気通信大学卒。2016年4月入社(25歳)
携わったゲーム: スペースインベーダー(Android, iOS)、 アルカノイドvsインベーダー(Android, iOS)、スペースインベーダーエクストリーム(Steam)

よい開発チームの特徴は「難しいけど面白い」を全員で実感=リズ・瀧澤正和氏<開発現場インサイト>



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